ホシさんの写真 | ノスタルジック小学校

ホシさんの写真


ホシさん
我が小高い丘スポーツ少年団とは初期からの付き合いだ。
もともとは
その昔、息子さんが丘チームに所属していたようで
その時分から保護者の立場で団に関わってきた。

息子さんが大きくなっても
丘チームの野球指導を長い間引き受けていた。
近所から集まるちびっ子たちに
とても丁寧に野球のいろはを教えてくれた。

指導を引退し
しばらくして私生活でも仕事をリタイアすると
今度は
ホシさんのもうひとつの趣味である
写真で団に携わってくれるようになった。

大柄でちょっと突き出たお腹をして、
よく日に焼けて顔が大きく、
いつもにこやかなおじいさん。
白髪混じりの、ややウエーブのかかった髪を後ろになでつけ、
色あせた
団オリジナルのジャンパーを羽織っている。
そして肩からは
本当に立派な一眼レフカメラを提げて、ホシさんはいつもやって来る。

試合や大会、
団の新年会やクリスマス会、その他レクリエーションと、
一年を通して、子ども達の姿をレンズに収め続ける。
一枚一枚、
それらは本当に生き生きした表情を捉えている。

バッターボックスに入った真剣な顔、
キャッチャーを見つめる、ピッチャーの一瞬のまなざし、
スライディングをしてアウトになった瞬間の、汗と泥にまみれた顔、
ホームに駆け込んだときの、全身で表すおおきな喜び。

サーブを打つ時にボールを見つめる、動きの止まった一瞬、
相手の攻撃を待ちながら、ネット越しに両手を上げて叫ぶ顔、
ブロックが決まった時の高く飛んだあの瞬間、
こぼれた球に向かう、伸ばした手とぎりぎりの表情、

レクリエーションでの
友達同士でふざける顔、いたずらをする顔、ちょっと疲れた顔、
炊き出しのカレーライスをみんなでほおばる顔。
応援する顔、
追いかける顔、
暑い顔、
寒い顔、

家では見せない表情ばかりが並んでいる。


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ちょっとだけ外側から
子ども達の成長を見守る、大人のやり方がある。

親とは違う大人から
教わることも、叱られることもたくさんある。

あらゆることが合理的にシステム化していく今の世の中で、

ホシさんの写真は
たぶん
これからも
変わってはいけない何かをずっと捉えつづけていくことだろう。