回転寿司とフッ素塗布 | ノスタルジック小学校

回転寿司とフッ素塗布


平日の昼間に、回転寿司に行った。

店内に入ると数組が順番待ちをしていて
私と知り合いも受付用のタッチパネルで順番を取り、入り口の待合席に座って待った。

斜め向こうには、少人数用のカウンターがあって
そこにはふたりの客が座ったばかりのようだった。

ひとりは
30代くらいの男性。セルフサービスの生ジョッキを自分で運んできて準備万端の様子。
もうひとりは
50代くらいの男性。同じくセルフだが、こちらは瓶ビールを片手に席に座った。

ふたりの間は椅子がひとつ空いており、知り合いではないようだ。

30男はぐいっとジョッキを傾け、50男は瓶ビールをグラスに注いであおった。

おもむろに
30男は頭上のタッチパネルを操作しはじめ
いくつかの皿を注文し終わった。回転するベルトコンベアには目もくれない。
50男はじっくりと、回転するネタを吟味し、ようやく一皿手に取った。
その後も吟味しては食べ、また吟味しては手に取る。

ぴーぴーぴーと耳障りな音がして、
30男のところにいくつもの皿が一度に回ってきた。
待ってましたとばかりに30男がそれらをすべてカウンターの上に置き、食べ始める。
横目で様子を伺う50男。
上目遣いにそっと見やるタッチパネル。

――もうちょっと見ていたかったんだけど
ここで唐突に、無感動な声でもって
46番でお待ちのお客様ああぁぁ
と呼ばれてしまったので仕方なく(でもないか)店の奥へ進んだ。残念だ。

50男はその後、タッチパネルを使えたんだろうか。気になるな。
50男が必死に三浦産生アジを注文しようとするんだけど
タッチパネルがどうしてもいう事をきかなかったりして。
たまりかねた30男がお手伝いしましょうか、と注文をしてあげるのだけど
間違っても恋に落ちるふたりじゃなさそうだしね。ちょっとドラマ性はないよね。
実は
カウンターで隣り合わせたふたりは、赤ん坊の頃に生き別れた父と息子だったとかさ。
ふたりともそんなことには全く気付かず
親切心で見知らぬ(ハズの)50男に三浦産生アジを注文してあげる息子。
タッチパネルを操作する右腕には見覚えのあるアザが。
はっとする50男。この子はもしや・・・。
心当たりのある50男にはもう、三浦産生アジの味なんて分からないのであった・・・。
ありきたりだな(笑)。

ところで
あの注文した皿が届く時に響く、ぴーぴーぴーという音だけど
あれなんとかなりませんかね。
どうしても
小学校の時分に体育館でやっていた、フッ素塗布の終了の音に聞こえてしまう。
Uの字になった枠の中に脱脂綿が詰められて、
それにフッ素液を染み込ませたものを歯でかぷっと押さえるのだ。
金属バーを手で持ち、時間が来るとぴーぴーぴーと
えんえんと、くそ面白くもない音がなる。

分かる人いるかなー。

その時の連れにも同じことを言ってみたんだけど、「知らない」と冷たくあしらわれてしまった。

そんなに冷たく言うことないじゃないか。

おかげでちょっとだけ
生ビールがすすんでしまった(笑)。