レコード屋にて | ノスタルジック小学校

レコード屋にて

レミオロメンにコブクロ、大塚愛、もちろんサザンに宇多田ヒカル
それからなぜかユーミン。

最近長女が、CDをレンタルしては自分用に編集している。

サザンだけは親の影響だと思うけれど
その他のアーティストについては特に口出しをするつもりもなく
好きな曲を好きなだけ聴けばいいんじゃないかと思っている。

最近は編集作業もラクですね。

昔はさ、
アルバムレコードを買うときは、それに合う分数のカセットテープを買ったものだ。
カセットテープの頭をくるくると送っておいて、そおっとレコードの針を落とす。
A面をダビングしたらひっくり返してB面。
テープの方もB面のはじめにまた合わせなおしてから録音するのだ。

このダビングという作業は
録音のあいだ中、
とにかくきちんとレコードを聴かなくてはならなかった。
曲を飛ばしたければ一時停止ボタンを押し、
聴きたい曲のちょっとだけ手前でまた録音ボタンを押したりしてね。

とにかく時間がかかったものだ。

今やCD編集なんてスゴイよね。
PCに取り込むのだって時間がかからないし
書き込むのだってあっという間だし
チェックボックスを外せば自動的にそこだけ飛ばしてくれるし。
なんというか親切すぎて驚いてしまう。

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たしか小学6年のころじゃなかったかと思う。
お小遣いを貯めて、レコード屋にシングルレコードを買いに出かけた。

何を買うか直前まで迷っていた。
スターダストレビュー夢伝説か、杉山清貴&オメガトライブサマーサスピションか、
それともオフコースでもいいな・・・

レコード屋の中はしんとしていて、
レジのカウンターには20代くらいのお兄さんが一人と
奥に高校生くらいの数人のお客がいるだけだった。
なんだかちょっとだけ大人になったような気分で
シングルレコードのコーナーを物色していた。

急に
入り口の自動ドアが開き

はおちゃん!はおちゃん何やってんの?

大きな声が店中に響いた。
声の方を見れば、近所でも評判の上沼恵美子みたいなおしゃべりおばちゃん
買い物袋をぶら下げて私の方へやってくるところだった。

はおちゃん今日はひとりなの?おかあさんは?なに?レコード買うの?
誰のレコード買うの?おばちゃんが一緒に探してあげようか。
言ってごらん。誰のレコード?
マッチ?トシちゃん?聖子ちゃん?
お金はちゃんと持ってるの?


にやにやしながらたたみかける様に大声でわめきたてている。

勢いに押されて仕方なく・・・杉山清貴とオメガトライブ ・・・。
と小声で答えると

オメガドライブ?誰それ。流行ってるの?
おばちゃんはそれ知らないねー。
ねーねー、お兄さん、ちょっと!この子がオメガドライブっていうレコード探してんのよ!
どこにあるか分からないから、お兄さん悪いけどこの子に探してやってくれない? 


すでに一万光年くらい遠くに感じられるカウンターに向かって
人間離れしたでっかい声で助けを求めた。

お兄さん、マッチじゃないよ?オメガドライブだよ。
はおちゃんマッチ好きだったんじゃあないの。
テレビ見て毎晩ぎゃあぎゃあ騒いでるっておかあさん言ってたよ?
もうマッチはキライになったの?ん?


カウンターから来たお兄さんがくすくす笑いながら、
サマーサスピションのシングルレコードを手渡してくれたのだけれど、

ちょっと。

ちょっと、おばちゃん! 黙れ!(←心の中で)

私はもうそれどころじゃなくて、一刻も早くその場から消えてしまいたかった。


出来れば姿を見かけてもその時だけはそっと見守ってほしかった。


おばちゃんがやったことは、その時私がいちばんやってほしくないことだった。


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だからというわけではないが
長女がCDを探すときも
次女が本を物色するときも
私は出来るだけ口出ししないと、心に決めている。