ノスタルジック小学校 -21ページ目

ハンコ

ある日、教室に入ると
ひとりの男の子を取り囲んで数人が何か言っている。ただならぬ雰囲気だった。


当時は学校で集団予防接種を行っていたんですが、
問診票に保護者のサインと印鑑を押して当日持って行かなきゃならなかったんですよね。


どうやら件の問診票のことでその子が問い詰められている様子。
「見せろよ!」とか
「出せよ!」とか言われている。
男の子は席に座ってうつむいたまま何もできない。


その子は
その頃どういうわけか仲間の男の子からしきりに攻撃を受け続けていた。
不器用で言われるままのその子は見ていてじれったく、
放課後になると今度は
私たちおせっかいな女の子たちから
「嫌なときはイヤってハッキリ言わないと!」だの
「○○なんかに好きなこと言わせといたらダメよ!!」だの
激しい叱咤激励の声をかけられてもいた。


どうやら
問診票の印鑑が薄くて、
押してあるんだかどうかがいまいちハッキリしないのを誰かが目ざとく見つけて、
それで見せろだの何だのといちゃもんをつけているらしかった。


事情が分かると女の子たちも熱くなる。
「それっくらいでそんなに責めなくてもいいじゃん!」
「ハンコが薄いときはときどきあるもんね!」


庇い始める。




橋の下


融通がきかない話をもう少し…。


子ども時代ってホントに融通きかなくて
例えば
学校の規則から少しでも誰かがはみ出たりすると
黙ってられない子がいたもんです。


O田小は南北に細長い学区だったといつか書きましたが、
北側の境界線って、橋だったんです。つまりは川の上ですね。
その向こうは校区外になるわけ。
校区外には子どもだけで出てはいけないんです。保護者同伴。


でもさ、
川って特に魅力的な遊び場だったりするんだよね。


気付くと
境界線の橋の下で遊んでたりするんです。
そんなキケンな(見つかりやすいの意)ところにいれば
誰かにチクってくださいと言ってるようなもの(笑)。


案の定
翌日の教室では
「○○はきのう、校区外にいましたぁ~~~!!」
と鬼の首を取ったように騒ぐヤツらとの戦いです。


「母さんがいた!」むなしいウソ。

「橋の下はいいんだ!」誰が決めた?


そして
追い詰められた覚えがある人は必ず言ったことがあるでしょう。


「証拠は?!」


こうやって
子どもは現行犯でないとダメなんだということを学ぶんでしょうね。





自転車検定その後 


さて、
自転車検定に合格すると免許証がもらえる。


といっても、○月合格って感じでハンコが押されるんだったと思う。
小さい透明なパスケースみたいのに入れて、
自転車に乗るときは必ず携帯していなければならない。
不携帯だと免許取り消しだったかなぁ。


こういうのも絶対チクられるんだよね。


どうして子どもって、まあまあお互い様なんだから、みたいな
融通をきかせたりできないんでしょうね(笑)?


しょうがないから自転車のカゴに入れっぱなしにしたりしてさ、
外に置いたままなもんだから、雨に濡れちゃって
文字がにじんで見えなくなったりするんだよね。


まあチクられて自転車に乗れなくなるよりマシかなぁ、なんて。


でもあの時チクってばっかだったヤツらも
今は立派な大人になって(笑)
融通きかせながら人生渡り歩いているんだろうな。


みんながんばって欲しいもんです。


ちなみに
34歳になった今でも、手信号はついついやっちゃいます(照)。




自転車検定


その昔、小学校で
「自転車検定」
なるものがあった。


聞くと、
けっこう「ウチの学校にもあった~」なんていう人が多いので
ポピュラーなものなのかな。


O田小の場合だと
たしか2ヶ月に1度くらいのペースで自転車検定が行われていた。
4年生からが対象で、
その日は放課後、一度家に帰ってランドセルを置いてから
自分の自転車で再び学校に向かう。


その時も、
前回の免許証がある子は学校まで乗って行ける。
でも前回落ちてしまった子や、初めて参加する子などは
必ず自転車を押して、歩いて行かなきゃならない。


ちょっとズルして乗っちゃったりなんかすれば、
間違いなくチクるヤツがいたものだ。


「センセ~、○○、免許ないのに乗ってきた~!」


みたいにね。学年に2人や3人はこういうタイプの男の子がいたもんです。
いましたよね?


検定の内容ですが、
だいたいみんな聞くと似たようなものなんですが、一応書いてみますと、


・直線で走って手信号のテスト。左手でハンドルを握ったまま、右手で…
停止は斜め下に、右折は真横に、左折は真横に伸ばした腕を肘から上に折る。
(ふらつくとダメ。)
・それから2本の、少しずらして置いた板の上を走るテスト。
(落ちたらダメ。)
・あとは8の字があったと思う。
(これもラインからはみ出たらダメ。)

こんな感じだったかな。他にもあったかもしれないです。


それぞれ先生がついていて、
「合格!」とか「不合格!」
とか言われる。


全部合格すると、次の検定までは晴れて学区内を自転車で乗り回せるのです。




知ってる人いらっしゃいます?

おまけ。


ローカルなCMで

「おはよ~、ヒカリ牛乳 こんにちは~、ヒカリプリン

 飲んでるモン!食べてるモン!

 みんな健康 ヒカリ~ぎゅうにゅう~!!」


これがごくたまにだけど

頭の中を駆けめぐって困る。

思い出したら最後、

3日くらいは忘れられない。

しかもローカルだから、誰とも分かち合えないのです(泣)。


ローカルなCMってインパクト強すぎです。






カールのCM♪

最近、カールのCMで、かなり昔の映像を使っているのを見た。


確かに!カールおじさんはその昔、脇役だった気がする。
麦わら帽子の男の子、いましたねぇ♪


懐かしいCMといえば、
たとえば
「カッパッパ~ルンパッパ~カッ~パ黄桜カッパッパ
 ポンピリピン飲んじゃった カッ~パいい気持ちぃ~ヤッ!」
の歌なんて、日本酒を飲むたびに思い出すし、


「ハイリハイリフレハイリホ~(ハッハァ)、ハイリハイリフレッホッホ~!
 大きくなれよ~」
とか
「グッモ~ニン、グッモ~ニン、目だま目覚めてま・す・か オッハヨ~」
なんてのも料理する時になにかの弾みでつい歌ってしまう。

どちらも丸大でしたよね?


あとは
ラーマ奥様インタビューの
「さっぱりしていて、イヤミがないですね。」
のフレーズは一生わすれられない決め台詞だと思うし、


新しいところでは、ビオレUを店頭で見かけるたびに
「なっぜなっぜなぜ?泡がいっぱい出るんだも~ん!」
と心の中でうきうきと歌ってしまう。


CMではないけれど、
だれかがクシャミを「ハクション!」とした時は
「大魔王~♪」
と歌わないと気がすまない体になってしまった。


これでよく子どもに怪訝な顔をされる。


こういうのって中年と呼ばないでなんと呼ぶ?


…悲しい。




草むしりの技


ガミ子はいつも
「葉っぱだけちぎるんじゃないよ。根っこを抜きなさい!」
と言っていました。そりゃそうだ。でないとまたすぐ草だらけになっちゃう。


ガミ子のやり方は、まず地面を区切るんです。手持ちのシャベルか何かで数メートル間隔で線を引く。
ここは誰ちゃん、ここは誰くん、といった具合に。
与えられたスペースを時間内にそれぞれが責任を持って(?)きれいにしていくわけです。


でもまあ、しょせんガキどもですから。


草なんて相手にしてられない。隣にちょっかい出したい。小競り合い。やがてケンカ。
当然ガミ子のゲンコツが飛ぶ。


もしくは、隣とおしゃべりに夢中。手は止まったまま。
「口を動かすんじゃなくて手を動かしなさい!」
後ろからいきなり怒られたりする。


自分のところがきれいになったら、ガミ子に検査してもらいます。
「まだこことここが残ってる。」とか言われるわけ。
合格すると、新たなスペースをもらったり、遅い子のところを手伝ってあげたりします。


でもさ、細かい草をむしるのってけっこう大変なんだよね。


小4くらいからかなぁ。
技を開発したんです。


シャベル(移植ゴテって呼んでいたな)で地面を薄くすくうのです。薄くね。これポイント。
そしておもむろに、


ぺたっとひっくり返す。


これを端から少しずつやっていくと、(もちろんはじめに大きい草だけは抜いておく)
さもきれいに仕上げたかのように見えるわけ。

 

ちょうど、新しい入居者が入る前に賃貸アパートの畳をひっくり返す感じ。


ガミ子には何も言われたことはないから、たぶんバレなかったんだろうな。







草むしりだよ全員集合

田舎の学校なもんで、児童は少ないし校舎は小さいくせに
校庭だけはだだっ広い。
普通の運動場に加えて、となりに新・運動場なるさらに広大なグランドがある。


そういうわけで、やたらと雑草がはびこる。


学期末や学期初めによく草むしりをさせられました。
全校で120人ちょっとしかいないので、もちろん全員一斉参加です。
その日は1時間目から、時間割には「草むしり」と書いてあるのみ。
体操服に赤白帽という基本のスタイルでいざ出陣です。


ガミ子が仕切り。


ガミ子はその名の通りコワイ先生だけど、担当科目は音楽と家庭科という先生で、
そのうえ園芸も得意としています。
学校の花壇はガミ子が季節ごとにお花を植え替えるし、お花だけではなく、
芋やイチゴなどもたまに植えていました。もちろん収穫してみんなでいただく。


まあそんな先生なので、草むしりだって担当です。


メインはやはり、というか地味に、
校舎の裏とか校門の周りとか雑草が必死になって生えていそうなところ。
人があまり踏まないところは、あいつら(雑草だよ)我が物顔なんだよね。
しかも競争が激しいから、雑草の本数も多い。


丁寧に、しかも急いでやらないと、時間内に終わらないのです。


ちなみに、校庭に生えている、でっかくて派手な草って、実は本数少なかったりする。
ひとつが、があぁっと放射状に地面に葉を広げるから、

いかにも生えてます!って感じで派手ですけどね。
ああいうのは男の先生たちが鍬でもって起こして、引っこ抜いていましたっけ。


学校中総出の草むしりでした。




教えられないこと


生活のなかに海があり山があり、
海には魚やカニがいて、山には花や木がある。


魚はそこにいるもので、花はそこで咲いているものだった。


カニが見たければ海に行き、花を摘みたければ山へ行った。

自分の足で。


なんだかエラソーだけど、私たちはそうやって育った。


カニを見つければ飼いたがり、
花を見つければ植えたがる。


そんな自分の子どもたちにふと淋しさを感じた。


でもこれは、教える類のものじゃないじゃないんだきっと。




海で遊ぶ

その昔
海で遊ぶことが多かった私たちは、
タイコガニやゴリンツー(砂色の小さい魚です)を
捕まえては遊んでいました。


ゴリンツーを捕るのに、網なんて使いません。


両手を水の中に浸けたまま、そぉーっと忍び寄るのです。
タイミングを計ってふっと手ですくっては、何匹も捕まえたものでした。


捕まえたゴリンツーやタイコガニは
浜辺に掘った即席の池に放ります。

砂地は、そこら辺を掘れば海水が湧くので、
好きな大きさの池をすぐに作ることができるんですよね。


数人で遊べば、どっちのチームがたくさんすくったかを競うし、
タイコガニは逃げてしまうけど、
オスとメスをくっつけて遊んでみたりして。


たしかお腹を見ればすぐに雌雄がわかったと思う。
オスがメスをおんぶするんだよね。場合によっては何匹もおぶったりして。
ホント、おもしろいカニですよね。


でも

私たちのなかでは誰も
「飼う!」なんて言わなかったし、
家に連れて帰りたがる子もいなかったな。


砂地の池は、
満ち潮になればまた海に還るものだから

夕方になって誰もいなくなっても、魚は死ぬことはない。


誰が考え出したわけでもなく、自然にそういうことをしていました。


もちろんいつでも海で遊べるんだという気持ちが
そうさせていたのでしょうけど。